里見香奈女流名人

里見香奈女流名人10連覇達成

 里見香奈女流名人コメント
 「11連覇はあまり意識していませんでしたが、今期の開幕直前あたりから、周りの方に注目して頂きました。応援されることで、結果を出さねばという思いもありましたが、それよりも自らの将棋を指すことを心掛けました。そのことで結果がついてきてよかったです。
 10年を振り返るとあっという間でした。その中では(五番勝負の)最終局に臨むという機会もありましたが、そのような経験をできて、成長につながったと思います。今季は純粋に将棋を楽しめた五番勝負でした。開幕直前に足を怪我して、対局中に足をくずすなどご迷惑をお掛けしましたが、気を使って頂き感謝しています。これまでで、最も回りの方々に助けられたシリーズでした。
10連覇という偉業の凄さ

 女流タイトルの10連覇は過去に一度しかない。1981〜90年の林葉直子の上流王将10連覇である。男性棋士でも10連覇以上となると数えるほどとなる。大山康晴十五世名人(名人戦13連覇、王位戦12連覇)、羽生善治九段(王座戦19連覇、棋王戦12連覇、棋聖戦10連覇)の2名しかない。
タイトル戦38期で破れたのは5回のみ

 里見香奈名人が過去に戦った女流タイトル戦は38期あるが、そのうちに敗れたのはわずかに5回しかない。ここまでの里見女流名人の道のりは決して安易なものでなく、奨励会への挑戦と挫折、体調のこともあったが、それを乗り越えて現在に至っている。
 「誰よりも将棋が好きある」、「盤を挟めば相手がだれであろうと負けたくない」という意志の強さを持ち続けてきたから女流名人戦の10連覇というものがある。
どこまで続く里見女流名人の快進撃

 連覇とともに年齢を重ねると、経験の蓄積に相反する体力の低下がある。過去の連覇の阻止には男女問わず、いずれも若い棋士の活躍がある。
 とはいっても里見女流名人はまだ26歳、体力・気力とも十分にある。だが、油断は禁物だ。今年度は女流王位を渡部愛に奪われた。そして女流名人挑戦は2期連続で伊藤沙恵が挑戦してきた。10代の女流棋士は5名いる。この状況を一番知っているのは里見女流名人である。棋戦後、「来期に臨むにあたり、力をつけることが一番大事です。地道に勉強を重ねて頑張りたい」と語っている。
 今年1月にヒューリック杯清麗戦が新設されたので女流タイトルは7棋戦となった。現在、その内の四冠を保持する里見女流棋士だが、新たな挑戦に期待したい。

  

Kinki Inasakai