大社高校野球部アーカイブ

声 明 書

声 明 書

 世論に問う
 第41回全国高校野球選手権大会島根県予選大会が大田市民球場において開かれるや、去る7月25日の大田高校対大社高校の準優勝戦に際して、これが延長14回に及んでその裏大社高校の攻撃となり、無死2塁、3塁に走者をおき、打者のバントに対する審判のセーフ判定について、大田側から抗議が出た。これに対して審判はあくまでセーフと判定し、試合の継続を宣したところ、大会規約に禁じられているのも拘わらず、大田側の木下監督はあえてグランドに出て、数次にわたって審判に抗議した。これは明らかにドロンゲームに追い込むべく、遅延策を講じたものと見なされる。
 その間、実に午後7時5分から約50分を経過したが、大社側は規約に基づき主将を通して数回試合の進行を要請し、更に審判長も7時20分頃試合の進行を命じても木下監督は執拗に抗議を続け、更に審判もこれに応じていたずらに大田側の言い分を聞くことに時間を浪費し遂に日没に至り、試合続行不可能の状態に至ったにも拘わらず、あえてプレーを宣告したのである。
 しこうして審判はドロンゲームにせんとして、大社側の了解を求めたが、大社側は審判団と協議の結果「試合中止」にして、関係者による善後処置の協議を約し、問題を翌26日に左の条件を大会本部、その関係者に示して、ルールを尊重して再試合に応ずることにした。

一、大会規約に明らかに禁じられているのも拘わらず、大田側の木下監督がグランドに出て、審判団に抗議したことが本試合を混乱せしめた直接の原因であるので、その責任上、本試合には出場しないこと。

一、審判団の不徹底な態度及び処置について、責任上本試合はには関係しないこと、及び大会本部は自ら運営上の無策を反省して、その善後策を速やかに講ずること。

 而して大社側はこの条件によって、試合再開を要求すべく26日早朝から関係方面に折衝を重ねたが、言を左右にして、ただ徒に出場を懇請するのみで誠意ある回答に接することを得なかったので、更に大社側は善処方を要請したのである。しかるに「大社側が万一午後4時30分までに入場せざる時は、大社側に試合放棄と認める」旨を一方的に大社側に示し、大社側は試合放棄を避けるべく右時刻までに入場せしめたが、審判団は会長及び大社側の了解をまたずして午後5時5分一方的にプレーを宣し更に5分後大社側に対して放棄試合を宣するに至った事は甚だ遺憾である。
 以上の如き事態に至らしめ責任は全く本大会本部及び審判団の負うべきものであって、かかる不純な処置が認められるならば、明朗且つ純真なるべき高校野球精神を破壊し、その歴史に大なる汚点を残すのみならず、将来の健全なる進展を阻害するものと断じてはばからないところである。
 重ねて言うが、大社高校は好んで試合を放棄せんとしたものでなくて、正々堂々と公正に試合を続行せん事を乞い願い、大会本部及び審判団の反省を終始要望したのである。
 よって本問題について、ここに事情を明らかにするとともに、厳正なる世論に訴える次第である。

   昭和34年7月27日
島根県立大社高校野球部
同    野球部後援会




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