大社町民諸子に告ぐ 謹んで大社町民各位に申し上げます。去る7月25日の対大田高の準優勝戦に大田高側の不正行為に端を発した紛争については、過日高校の声明書により一応の事をおしらせいたしましたが、尚あの声明書に書かれていないこと、及びその後の事を記して御報告いたします。 一、7月26日、大社側は学生野球の本質の則り、正々堂々と試合をせんが為に声明書に記した二ヶ条を提出しましたが、大会本部は何等誠意を示さず、そのうち午後4時になって大阪朝日の本部より矢野校長に直接電話あり(大会本部へも同様の電話ありたるものと思う) 1、木下監督はわび状を書くこと。 2、審判員は昨日とは替えること。 の条件にて試合するよう勧奨がありましたが、大田の部長は、1を断固拒絶した為、話は壁に突き当りました。 二、午後4時10分頃千家後援会長は安来市の出張先より駆けつけ、大社側先輩、監督と協議し、次に木島大会長等の了解を得て試合進行の工作にのり出しました。しかるにそれも木島会長の不誠意により破壊されました。その内容は重複をさけるため別記木島大会長宛の質問書にて御承知下さる様御願い致します。 三、中島竜一氏は県公安委員長の立場から球場の不穏なる情勢を察知され、もし不祥なる事件発生し選手が負傷でもすることを憂慮して、大社側は選手を引きつれて帰ったらどうかと電話をかけられました。この事はいかに大田市が興奮のルツボにあったかを証している事であります。 四、8月3日附島根新聞には前日(2日)の浜田高校で開かれた県高野連理事会の事についての報道文中「大社側が折れた」旨記されましたが実はその席上大社側の理事(目次教頭)は「大田高は教育的良心に基づいて甲子園出場をすべきではないか」と提案しましたが之は認められませんでした。又その席上の木島大会長の態度は是亦別記質問書をごらん下さい。 大社側は折れてはいません。次回理事会は8月20日の予定なので、その折は事情に明るい矢野校長、中山後援会理事が出張して当方の立場を説明する方針であります。 五、尚放棄試合を宣告されたと言う事情について経過を正確に報告をする為に、7月28日矢野校長、中山理事、北井監督の3名が大阪に出張、朝日新聞本社で全国高野連本部の佐伯副会長、朝日の運動部長、同次長に面会して、委しく説明しましたが、3氏とも大社の公正な態度は十分了解されたことと思います。 六、佐伯副会長は7月31日松江において木島会長、松本大田校長、矢野大社校長及び審判団との席上で、大田校長に対し「自粛の意味で甲子園の出場を辞退する気はないか。」とまで云われました。又、8月1日には大社高校を訪れ、選手一同を心から慰め、且つ激励されました。 七、この度の紛争は大田木下監督の規則違反と不正行為が原因でありますが、つづいて大田側観衆の気分に押された審判団の見るにたえざる優柔不断、及び木島大会長の誤った運営の結果であります。そして殊に木島大会長は例え不なれであろうとも、とにかく大社方を明らかに欺いたのであります。依って大社方の立場を明らかにするため、同氏宛別紙の如く質問書を発せざるをえなくなりました。 斯くの如く大社は正々堂々と試合したいために忍耐強く努力をいたしましたが、彼等の不真面目な且つ、無責任な処置によって一方的に放棄試合を宣告せられるという結果となり、折角甲子園出場の好機をはばまれ実に遺憾至極であります。それについても常に温かい愛情を以って御後援下さった町民各位に対し誠に相すみません。ここに事情を御報告申し上げますと共に御応援に対し深く御礼申し上げます。 尚、選手一同は朝日新聞社、高野連本部の御好意により慰労と見学をかねて、甲子園における準優勝、優勝戦を観覧させたいと思っております。何卒御了承下さいませ。 昭和34年8月8日 大 社 高 校 野 球 部 後 援 会 大 社 町 民 各 位 |
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